EVバッテリー組立・搬送ラインを組立・施工【後編】
[地味スゴTMX事例シリーズ]
支給品管理・仕様後出し・現場調整――最後までやりきる!
■ “支給品が多い案件”のリアル、崩壊一歩寸前で持ちこたえる
本件は顧客支給品が非常に多い案件でしたが、とある理由により、現場では「あるもの/ないもの」が混在しました。これはヤバぞ。そこで当社メンバーが顧客工場に常駐して、それを整理するところから始めたのです。しかし整理するにも量が膨大・・・あるメンバーの発案でExcelでの支給品管理シートを作り直しました。
当初はシンプルな表でしたが、必要情報が次々追加され、どんどん複雑化。しかも、ただ足すのではなく、計算が重くならないように工夫しながら、既設の管理ロジックとの整合も保って“増築”していく必要がありました。苦労は多かったものの、「これを考えるのは楽しかった」と担当者は語ります。こういう地味な改善に熱が入るのもテルミックスらしさかもしれません。
■ 管理都合 vs 現場都合:パレット管理の衝突が教えてくれたこと
ただし、支給品管理で本当に難しかったのは、管理都合と現場都合の衝突でした。顧客側はパレット番号で在庫を管理しているため、物品を移動すると追跡できない。一方、現場は種類ごと・装置ごとにまとめた方が圧倒的に効率的です。ここは実際にズレが発生し、衝突もありました。
次回に向けた教訓は明確です。「現場での最適」と「管理での最適」は別物なので、初期段階から意思統一をしておくこと。これはプロジェクトマネジメントの重要テーマとして、支給品が多数ある場合の今後の案件でも強く意識していきます。
■ あいまいな仕様への対応
本件では、一部仕様が口頭やメールで仕様が伝えられるケースもありました。不明点を都度確認する必要があり、どうしてもタイムロスになります。特に電気分野では遅れが多く生じました。また、施工区分が曖昧で、立会時の指摘で緊急対応になる場面もありました。こうした事象は顧客側事情や納期の兼ね合いから致し方ない面はありますし、ままあることです。だからこそ、今後は仕様と区分を早い段階で文書化し、関係者全員が同じ前提に立つことが重要になります。
■ 顧客設備のSVによるキャッチアップを提案
本案件では、顧客工場へSV(作業責任者)を派遣し本案件の設備の組立技術を習得することを当社から提案しました。現地で不明点があればすぐ確認でき、後続ラインへ展開できる合理的な提案として理解いただきました。しかしスケジュール調整上、上手くいかず、次の提案として、顧客からTMX側への指導ができるSVを派遣するように依頼しました。これが“顧客の常識”を学ぶ機会になりました。分からないまま進めない、曖昧なまま施工に入らない。地味ですが、これが結果として品質とスピードにつながります。
■ 約束を守るために必要ならやる
支給品管理や日程の二転三転、工程の交通整理、仕様の変化、新しい常識への対応など、悩みまくりました。しかし、こうした中でもテルミックスは、設計変更情報のリスト化や、不足品(ボルト類、配管系)の購入なども実施して対応しました。
「範疇外なので知りません」ではなく、納期と品質を守るために必要なことをやる。これがテルミックスの寄り添う姿勢であり、途中で投げない姿勢です。もちろん、何でも抱え込めば良いわけではありません。良い面・悪い面はあります。それでも本案件では、顧客の困りごとに対応しながら、最終的にラインを成立させることを最優先しました。顧客担当者とは、熱い議論をすることもありましたが、結果としてとても信頼をして頂き、新たなパートナーとしての一歩が踏み出せたと思っていて、感謝しています。
■「ありがとう」の一言。だから、やりきれる
紆余曲折は多かったものの、本案件は主要メンバーのチームワークにより、納期遅れなく完成!しかもその組立精度・施工品質に顧客からはとても評価されました。
事情や経緯に関わらず、約束は守る。とにかく最後までやりきる。その姿勢を貫けた案件でした。
どれだけ苦労しても、最後にお客様からいただく
「ありがとうございました。」
これが唯一の達成感であり、一番欲しい言葉です。この言葉のために頑張れる。ラインビルダーの現場には、そういう瞬間があります。
■ まとめ:EV時代の大型生産設備を、国内外へ確実に届けた“地味スゴ”案件
EVバッテリーの組立・搬送ライン、20m超・90ユニットの大型装置を国内外へ展開し、現地施工までやりきった本案件。技術の難しさだけでなく、仕様・慣例・支給品・工程調整といった“技術以前”の課題を乗り越える必要がありました。
その中でテルミックスが発揮したのは、
• 生産技術視点での提案力
• プロマネ/プロジェクトマネジメントによる交通整理
• SVを含めたキャッチアップ力
• そして途中で投げない、やりきる姿勢
地味な積み上げこそが、大型装置を確実に動かす。
そんな“地味スゴ”が詰まったプロジェクトでした。