航空機体分野での実績 ― 主翼の精密搬送
30mワークを、0.13mm以内で位置決め
岡山を本拠地に国内はもちろん世界中——テルミックスはさまざまな自動化、つまりファクトリーオートメーションに携わってきました。航空機分野は、自動車と比べると生産台数が少なく、大量生産を前提とした自動化が進みにくい領域です。そのため、設備や生産技術においても「人の作業を前提とした工程」が多く残っており、自動化に関する知見や事例もまだ十分とは言えない状況がありました。
テルミックスは、これまで自動車業界を中心に、生産技術・自動化・ロボットを軸とした数多くの生産設備・自動化ラインを手がけてきました。
業界は違えど、「工程を成立させる」「精度を出す」「安定して動かす」という本質は共通しています。
自動車で培ってきた構想力や制御、インテグレーションの知見は、航空機分野でも必ず活かせる――そう考え、テルミックスは航空機事業への参入に取り組んできました。
もちろん、航空機業界には独自の文化や常識があり、その違いに戸惑う場面も少なくありませんでした。それでも、「お客様が本当にやりたいことは何か」「そのために何が必要か」を一緒に考え、提案し、やりきる姿勢は変わりません。
ここでは、その一例として航空機分野での事例をご紹介します。
787主翼搬送設備
― 30メートルを、0.13mm以内で動かす ―
本設備は、航空機787の主翼を組み立てるための主翼搬送・位置決め設備です。
約30メートルに及ぶ主翼を構成する前桁(フロントスパー)と後桁(リアスパー)を搬送し、所定位置に高精度で位置決めする役割を担っています。
求められた精度は、±0.13mm以内。あくまで当時の要求です。
自動車分野であっても、ボデーサイズは最大で約3メートル程度。30メートルという長さ、そして航空機ならではの精度要求は、テルミックスにとっても未経験の領域でした。
それでも考え方はシンプルです。
「どうすればできるか」を、一つずつ整理していきました。
構想の起点は「目的を分解する」こと
まず整理したのは目的です。
お客様のニーズは明確でした。
「約30メートルのワークを、0.13mm以内の精度で搬送・位置決めしたい」
これをそのまま一体構造で実現しようとすると、
・ワーク重量
・駆動力
・たわみ
・制御の難易度
といったリスクが一気に高まります。
そこでテルミックスが提案したのは、30メートルのワークを一体で動かすのではなく、15か所に搬送ユニットを分散配置する構想です。これにより、搬送に必要な力を分散し、構造的な負担を抑えながら高精度を狙うアプローチを取りました。
制御とインテグレーションで“ズレ”を消す
搬送ユニットを分散することで、次に課題となるのが位相ズレです。
30メートルという長さでは、わずかなズレがワークに大きな負荷を与えてしまいます。
この問題を解決するため、各ユニットにはサーボモーターを搭載し、トルク情報と位置情報を常時監視。
制御側で各ユニット間の位相差を管理し、0.01mm以内に抑えることで、ワーク全体を一体物として扱える搬送制御を実現しました。
単にモーターを並べただけでは成立しません。
構想、制御設計、機械設計を一体で考え、設備全体をインテグレーションする力があってこそ成立する生産設備です。
業界を越えて、“寄り添いながらやりきる”
航空機分野は、自動車分野とは異なる考え方や判断基準が多くあります。
その中でテルミックスが大切にしたのは、「自動化を押し付ける」のではなく、お客様のニーズに寄り添い、最適な形を一緒に探すことでした。
業界の壁を越え、
・構想する
・提案する
・試行錯誤する
・そして最後までやりきる
その積み重ねが、今回の主翼搬送設備の成立につながっています。
テルミックスはこれからも、
自動車、航空機、そしてその先の分野へ。
生産技術と自動化の力で、お客様の「やりたい」を形にするラインビルダーとして、挑戦を続けていきます。