車種追加を“止めずに成立させる”総力戦 ―【後半】
予定外だらけの現場で、設計・施工・電気が一体となってやりきる!
■ 施工現場は“予定が変わる前提”で回す
施工フェーズに入ると、計画どおりに進まないことが前提になります。休日生産の有無による工事日程の変更、部品入荷状況に応じた工事順序の組み替え、PO発行時期の調整など、細かな変更が積み重なっていきました。この変化点管理はプロジェクトマネジメントの肝です。
また、お客様の担当者としてはIAIロボシリンダを使用した汎用設備の改造が初の試みであり、工事内容や工法、必要工数について、ローカル工事メンバーと丁寧にすり合わせながら進める必要がありました。
ローカル工事メンバーは日替わりに近い体制となることもあり、
- 作業内容が十分に伝わらない
- 計画時間を超過する
といった問題が発生し、こちらの仕上げの対応をする場面もありました。
そのため施工担当は、常に2〜3案の工事手順を想定し、状況に応じて切り替えられるよう準備。
現行車種が週明けから問題なく生産できることを最優先に、現場で判断し、調整していきました。
■ 電気担当が支えた“同時進行”とインターロック対応
電気担当にとっての大きなポイントは、IAI電動アクチュエータ特有のインターロック管理でした。
治具を動かす際やソフト改修時には、干渉やインターロック抜けが起きないかを常に確認する必要があります。
このラインはL/R(左右)で別ライン構成となっており、仕様が微妙に異なるため、先行でトライした方側で問題が出なかった内容が、反対側で別の不具合として現れることもありました。「同じ対応をしたはずなのに結果が違う」——その違和感を一つずつ整理し、原因を切り分けていく作業は、制御ならではの難しさです。
また、アンダーボディとサイドボディの同時作業中には、SV(作業責任者)経験の浅い担当への指示が伝わりにくい、資材が一時的に行方不明になる、といったことも発生しました。
さらに、
- 測定日を前倒ししたいという調整
- ロボット納入遅れによる週末工事対応
- 一次電源盤ブレーカ未交換への緊急対応
など、電気側での判断と対応が求められる場面も多くありました。それでも、休日生産や予定外作業にも柔軟に対応し、大きな問題なく進められたのは、設計・施工・電気が常に情報を共有し、同じゴールを見て動いていたからです。
■ “成立させるために必要なことをやる”
本案件では、当初予定になかった作業も数多く発生しました。設計変更への追加対応、仕様漏れに対する対策、既存設備の機器トラブル対応、一次側電源盤のブレーカ交換、ケーブル断線対応などです。
テルミックスが大切にしているのは、
「範疇外だからやらない」ではなく、「ラインを成立させるために必要なことはやる」という姿勢。
ロボットティーチング自体は施工範疇外でありながらも、工事全体を見据えてティーチング日程・内容・人工の提案まで踏み込みました。部分最適ではなく、ライン全体最適を優先する判断です。
■ まとめ|“止めない”という共通目的が生んだ一体感
本案件は、自動車の汎用ラインに新車種を追加する、一見すると改造規模の小さな案件でした。しかし実際には、仕様調整、工程変更、現場対応が連続する、非常に難易度の高いプロジェクトでした。その中で、設計・施工・電気がそれぞれの立場を超え、「どうすればラインを止めずに成立させられるか」という共通目的のもとで動けたことが、最大の成果だったといえます。
派手ではありませんが、こうした地味な積み上げが、生産を支えています。
それが、テルミックスのラインビルダーとしての価値です。