全ては現地調査から始まる
自動化ラインは、なぜ“最初の一歩”で決まるのか?
こんにちは、技術コンサルの T です。
今回は、自動化ラインの成功が「どこで決まるのか?」というテーマで、日々の現場訪問やプロジェクト支援を通じて見えてきた“かなり再現性の高い共通パターン”についてお話しします。
結論から言うと、自動化ラインは、現地調査と上流構想の質で7〜8割が決まります。
これは感覚論ではなく、技術的な話です。
特に、大型・重量物の溶接や締結、多品種・小ロットのフレキシブル生産といった自動化が難しい領域ほど、上流でどこまで詰められているかが、そのまま結果に直結します。
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■ 現地に行かないと見えない“本質的な情報”があります
当然ですが、図面と仕様書だけでライン構想を組み立てるのは、無理筋です。現行ラインの自動化であれば現行ラインの現地調査、新設ラインの場合は、参考になる現行ラインの現地調査が不可欠です。とはいえこれまで多くの製造現場を見てきましたが、「現場を十分に分析しないまま仕様を決めた結果、最後に一番苦労する」というケースを、本当によく目にします。
現地調査では、例えばこんな点を確認します。
• 大型ワーク特有の反り・たわみ・姿勢誤差
• 溶接歪みや、締結時に発生する反力などロボット制御に影響する変動要素
• マテハンの動線、工程間搬送の制約条件、バッファ量
• 作業者が無意識に行っている補正や段取り(暗黙知)
• 画像処理に必要な光学条件、照明や反射の影響
生産技術のみなさんなら分かると思いますが、これらは図面には一切出てきません。
そして、この情報を持たないまま
設備メーカーやSIerに丸投げしてしまうと、
• 「想定していたタクトが出ない」
• 「この誤差ではロボットが拾えない」
• 「治具がワークの個体差に耐えられない」
といった、典型的な後戻りが発生します。最終局面で生産技術が苦労する理由は、だいたいここに集約されます。
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■ 工程を“分解”すると、自動化の成立条件が見えてきます
ここ、個人的にすごく好きなポイントなんですが、自動化の可否は「工程分解」で一気に整理できます。
私が大切にしているのは、現地調査で得た事実を、工程単位まで落とし込むことです。
たとえば、大型ワークの溶接+締結工程であれば、
• 作業者の動きを秒単位で観察・記録する
• ロボット化できる動作/できない動作を切り分ける
• 画像処理が成立するかを光・反射・陰影の観点で評価する
• 力覚制御が必要かどうかを見極める
• 工程間搬送とタクトの整合性を確認する
• 多品種切替が何パターン発生するかを整理する
……と、かなり地味な作業を積み上げていきます。
ただ、この地味な積み上げこそが、成功への最短ルートです。
工程を分解していくと、難しそうに見えた現場でも、
• 「この工程は画像処理+ロボット制御で成立する」
• 「ここは自動倉庫や搬送との連携がポイントになる」
• 「締結は反力制御が鍵だな」
• 「先に搬送を最適化すれば、タクトは成立する」
といった形で、自動化の可能性が“見える化”されてきます。
生産技術の方が「できる理由」を理解できるようになると、判断のスピードも精度も、一気に上がります。
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■ “構想図”があるだけで、丸投げは激減します
上流構想のアウトプットとして、TMXでは必ず 「自動化ライン構想図」 を作ります。
これは、
• ロボット
• 画像処理
• 制御
• マテハン
• 付帯設備
を、一本の線でつないだものです。この構想図があるだけで、
• 設備メーカーが迷走しない
• SIerとの情報ギャップが減る
• 過剰スペック/不足スペックを防げる
• 生産技術が「何を決めるべきか」を把握できる
つまり、丸投げ前提のプロジェクトが、きちんと管理されたプロジェクトに変わります。
構想図は、言い換えると“北極星”です。プロジェクトが迷わなくなります。
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■ TMXが大切にしているのは「途中で投げない」ことです
構想図を作って終わり、ではありません。むしろ、ここからが本番です。
実際の自動化プロジェクトでは、
• 設備メーカーとの仕様整合
• ロボットティーチングの方針決定
• 画像処理の光学条件の詰め
• 制御シーケンスの統合
• パレッタイズや工程間搬送のタクト調整
• 海外工場でのSV対応
など、技術のつなぎ目が次々に出てきます。ここを途中で投げてしまうと、どれだけ美しい構想図でも、ラインは安定しません。
TMXが「途中で投げない・やりきる」という姿勢を大事にしているのは、もちろん頂いた機会を全うしたいという想いもありますいが、技術的にそれが一番合理的だからです。
最後の1mmを詰める作業。
ここは技術的に“沼”ですが、この部分こそが自動化ラインを成功に導きます。
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■ まとめ:現地調査と構想は、自動化の未来を決めます
• 現地調査で「現場の真実」を掴む
• 工程分解で自動化の成立条件を見極める
• 構想図で後戻りを防ぐ
• インテグレーションで最後までやりきる
この4つが揃うと、自動化プロジェクトは本当にうまく回り始めます。
生産技術のみなさんが、時間不足で本来の 仕様検討や構想 に手が回らないときは、どうか遠慮なく、私たち TMX を頼ってください。一緒にやりきりましょう。
では、また次回。
技術コンサル T でした。