国際ロボット展を視察してきました (2025.12.3~6)
テルミックスの技術コンサルTです。今年も国際ロボット展(https://irex.nikkan.co.jp/)を視察して来ました。生産技術や工場自動化に活かせる技術の最新動向を肌で感じることができました。自動化ラインビルダーや設備メーカーとしての視点でも学びの多い展示内容となりました。
まず注目したのは、2Dカメラ複数台を組み合わせて3Dビジョンを代用する画像処理システムです。生産設備における仕様検討の自由度を高めつつコストを抑えられるため、構想段階での選択肢が広がるソリューションとして非常に有効だと感じました。安全制御の領域では、ロボットのソフトウェアリミットに速度制限を設け、停止させずにリスク低減する制御手法が提案されていました。産業用ロボットの生産性と安全性を両立するので、ライン効率を維持しながら安全性を高める手段として、“あり”だと感じました。
展示会でひときわ存在感を放っていたのが、KAWADA Roboticsさんの人型双腕ロボットです。多くのメーカーが実際の展示システムに採用しており、搬送やパレッタイジングといったマテハン工程での応用が増えそうです。また、各社が7軸・8軸の多軸ロボットを発表していた点も興味深いところです。自動倉庫や工程間搬送、自動組立など、より複雑な動作を求められる領域での活用が進む予感がします。
一方で、会場には多くの中華系ロボットメーカーが出展していました。価格競争が激化する中、国内メーカーには高付加価値化がより求められるでしょう。我々ラインビルダーとしてはこうした製品も理解したうえでの自動化提案力がますます重要になると感じました。寄り添い・やりきるラインビルダーとしては望むところです。
製造技術分野では、レーザーやアークによる金属肉盛り装置や制御ソフトの展示が目立っていました。アディティブマニュファクチャリングは確実に実用段階が広がっており、補修から新造まで活躍の場が広がっていることが伺えました。
さらに、安川電機さんが披露したAI制御による複数ロボットの木製椅子自動生産デモは圧巻でした。本当にプログラムレスなのか疑いたくなるほど滑らかで、素材加工から組み立てまでを滑らかにこなす姿に多くの人が見入っていました。
遊び心ある展示も多く、レーザーで来場者の名前を刻印したスケールを配布するブースや、ロボットが製造したオリジナルハイチュウを来場者に渡すシステム、さらに棚からお菓子を取り出してサーブするロボットなど、技術の枠を超えた体験型展示もにぎわいを見せていました。
総じて、今年の国際ロボット展は「多様化と実用化」が一層加速していることを実感する内容でした。現場課題の解決を意識した技術が増え、ロボットがますます身近な存在になりつつあることを感じさせる展示会となりました。自動化やインテグレーションの価値がさらに高まる中、私たちも引き続き、寄り添いやりきるラインビルダーとして提案力と技術力を磨き、現場の課題解決に貢献していきたいと感じました。